激動する経済環境と不動産投資 | 賢者が語る!不動産投資の極意

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百年に一度の「危機」を「チャンス」に変えるために

どんな手段、選択肢が有力なのか

どんな手段、選択肢が有力なの

地球規模の金融危機

yamada1.jpg地球の反対側、とまではいきませんが、日本から遠く離れたアフリカ南部の国、ジンバブエで想像を絶する猛烈な勢いの物価上昇、ハイパーインフレが続いています。
日々、と言うよりは、刻一刻と手元の貨幣の価値が下がっていく状況に、政府もなす術がなく、ジンバブエ国民の資産は通貨の大暴落と共に消滅してしまいました。
今月3日に、そのジンバブエで通貨の呼称単位の変更があったとのニュースが流れましたが、その率はなんと1兆ドルを1ドルとするものでした。ピンと来ないかも知れませんが、これは日本で考えれば、1億円持っていた人の資産残高が『1円の1/10000』になってしまう恐ろしい比率です。
さて、皆さんは、この話を聞いて、どう感じますか?対岸の火事として捉えるのは自由ですが、もしかしたら、ドルやユーロ、そして円の通貨としての価値が未来永劫保たれると考える方が呑気なのかも知れません。ジンバブエのハイパーインフレは極端な例かも知れませんが、皆さんが保有している通貨の価値が下落する可能性はないのでしょうか。

2009年は波乱の年?

話は変わって2月1日の日本です。
自民党の菅義偉選対副委員長は、テレビ番組内にて『政府発行紙幣』について一つの政策として議論に値するという考えであることを示唆しました。政府発行紙幣は、打ち出の小槌のように、財源を気にすることなくいくらでも増刷することが出来ますので、印刷代を気にしなければ、政治家にとって、これほど便利なものはないのかも知れません。でも、そんなに簡単に、紙幣を増刷してもよいものなのでしょうか。
現在100年に一度の経済危機という言葉が使われていますが、その言葉を盾にして、『だから何をしてもいい』という方向に進んでしまうのは、あまりにも安易です。
また、今、世界中で公的資金を活用しての金融機関をはじめとする民間企業の救済が始まっています。最大級の危機を乗り越えるためですから、ある程度は必要なアクションだと言えますが、ここで大切なのは『ある程度』が『どの程度』か、です。
この捉えにくい、そして、一歩間違えれば通貨の価値を大幅に下落させる、非常に難しい課題を抱えながらの復旧作業を世界中で行っている訳ですから、地球規模での景気回復のプロセスが波乱含みであることは、間違いありません。

実物資産の代表選手

それでは、波乱含みの時代における資産形成では、どんな手段、選択肢が有力なのか、考えてみたいと思います。
万が一、公的資金の活用による経済政策が行き過ぎてしまった場合、言い換えれば、お札を増刷しすぎた、または、借金をしすぎた(=国債を発行しすぎた)場合には、その国の貨幣の評価は下がります。結果としてインフレの速度が上がる可能性がある訳ですが、このような時に、頼りになるのは、やはりそれ自体が価値をもつ資産です。(貨幣は紙、もしくは安価な金属でできていますので、それ自体の物理的価値はさほど高くありません。特に紙でできた札の価値は皆無でしょう。)
それ自体が価値を持つ資産、言い換えれば実物資産の代表選手が、金などの貴金属、食糧(などの商品)、そして不動産となりますが、今回は、この中の不動産を題材として、これから投資をする際の2つのポイントについて考えてみたいと思います。


投資をする際の2つのポイント

投資をする際の2つのポイント

ポイント その1 -人の動きを見極める-

不動産投資において、利回りを重要視される方は多いと思いますが、これからの投資においては、是非とも判断基準の一つに時間軸を加えて頂きたいと思います。
例えば、一棟もののアパートやマンションを投資対象として策定する時には、物件自体の状態、これまでの利回りに加えて、立地を見るはずです。入居率の高さが期待できるような学校や大企業の工場などの施設の有無や、最寄り駅までの距離、周辺の環境などです。

それら要素が非常に重要である事は間違いないのですが、それが、これから先も変わらぬ影響力を持っているかどうかは分からないのです。もしかしたら、その地域全体の魅力が失われてしまうという事もあり得るのです。
この地域全体の魅力に大いに影響する一つの要因として、今後の人口の流入と流出が挙げられますが、これは誰でも確認することができます。
東京の千代田区にある国立社会保障・人口問題研究所のホームページには、「将来の市区町村別人口および指標」が掲載されており、これを見れば5年、10年、20年後の人口が増えているのか減っているのか、(現時点での)予測を確認することができます。
日本人全体の人口はすでに減少に転じている訳ですから、これまで以上に未来の「人の動き」に気を配る必要があると言えます。

LinkIcon国立社会保障・人口問題研究所

ポイント その2 -不動産価格と金利の両面から投資効果を考える-

さて、一般的には不動産投資においては、その購入金額も大きいので、いざ購入しようと思うと値動きの推移が気になるものです。
確かに、直近の不動産価格はかなりの勢いで下落してきていますが、一体いつ、決断をすればいいのでしょうか。
待てば安くなるのであれば待ちたくなるのが人情ですが、ここで金利動向にも目を配って頂きたいと思います。
例えば、(少々極端な例ですが)1億円の物件をフルローン(返済期間25年)で購入検討しているとします。仮に予想される年間の家賃収入が700万円だった場合、どうなるでしょうか?まずは、金利が3%だった場合の例から考えてみます。
※ここでは、諸費用等は考えないこととします。
この場合、下記表とグラフとのとおり、年間の返済額は約569万円となり、700万円の家賃収入との差が、毎年の収益となります。多少の空室が発生しても、気持ちにゆとりがある状況かと思います。

資料:今後取得予定の住宅ローンについて 3%想定資料:今後取得予定の住宅ローンについて 3%想定 (クリックで拡大)

それに対して、物件の下落を待って、(期待通りに)1年後に1割下がったところ、つまり9000万円で購入に踏み切ったケースで考えてみましょう。仮に、1年後も同じ金利であれば、返済金額も1割減となり、めでたしめでたしとなりますが、ここでは、金利が2%上がって5%になっていた場合を考えてみたいと思います。
すると、どうなるでしょうか。残念ながら、冷や汗をかきながらの大家さん生活が始まります。
なぜならば、確かに物件自体は安く買っているのですが、金利の負担が一気に高まるからです。年間の返済金額は、1年前に1億円で買った時よりも上がってしまうのです。年間700万円の家賃収入に対して、返済金額は約631万円ですから、赤字にはなりませんが、ちょっとでも空室が出ると窮地に追い込まれてしまいます。
結局、キャッシュフローは悪化してしまう事になります。

資料:今後取得予定の住宅ローンについて 5%想定資料:今後取得予定の住宅ローンについて 5%想定(クリックで拡大)

ちなみに、株と同様、不動産物件においても、底値を拾おうとしても拾える幸運に巡り合う事は難しい事を付け加えておきます。
その幸運に巡り合う為の努力も大切ですが、一度上がりかけた基準貸付利率(公定歩合)が、また元に戻りつつある、つまり、超低金利に戻ってきている状況にあることに気づく事もまた、大切です。
現在の超低金利は、物件価格が大幅に値引きされているのと同じメリットがある訳です。

「危機」を「チャンス」に変えるために

好景気においても不景気においても、リスクのないところに魅力的なリターンは存在しません。皆さんがリターンを望むならば、リスクを覚悟することが必要です。
但し、そのリスクを正しく見据えることができるか、そして、コントロールすることができるか否かが重要です。
今回のコラムでは、リスクを見据える為の3つのキーワードが出てきました。それは、「人の動き」「物件価格」「金利」です。
不動産投資でよい結果を導き出すためには、どれも外せない要素となりますが、良く考えてみれば、100年に一度の金融危機と言われる今は、「物件価格」と「金利」においては、素晴らしい条件が整っていると考えることができます。
あとは、将来の「人の動き」を柱とした検討を進めれば、良い結果に結び付ける事は難しくはないはずです。不動産投資における千載一遇のチャンス到来と言える時代なのかも知れません。
真に価値ある実物である不動産と巡り合い、それを、機を逸することなく手にすることができれば、100年に一度の金融危機はチャンスに変わります。
皆が震えて不安に怯えている時こそ、能動的なアクションが功を奏する可能性が高まります。過度な悲観論、楽観論に振り回されることなく、投資家としての自覚を持ち、私たち一人一人が賢明な判断をすれば、明るい未来への扉が開かれるはずです。


山田英次氏のプロフィール

山田英次氏のプロフィール

山田英次(やまだ・えいじ)

ファイナンシャル・プランナー
ブレインズパートナー有限会社代表取締役

慶應義塾大学にて国際経営学を専攻。外資系金融機関を経て、独立系金融コンサルティング会社を設立し、全国各地で開催される講演会を通じてのアドバイスを精力的にこなしています。住宅購入、教育資金、セカンドライフに向けた資産形成など、個人の生活に密着したコンサルティングに実績があり、幅広い支持を集めています。日経BP社のWebサイトセカンドステージ『一から学ぶ資産運用』、新生銀行Webサイトの『FPがおすすめするあなたにピッタリの運用方法』などの連載も掲載中です。